手を使う仕事なのに、なぜ全身が固まるの?手話通訳者・要約筆記者のためのセルフケア講座【開催報告】
- 藤井憲之

- 5 日前
- 読了時間: 7分

兵庫県加古川市の「ふじい整骨院」院長の藤井憲之です。
本日、兵庫県高砂市の社会福祉協議会様よりご依頼を受け、手話通訳者や要約筆記者として活躍される皆様を対象とした 健康講座「けいわん対策・セルフメンテナンス」(120分)を開催してまいりました。
お忙しい中、会場に足を運んでくださり、熱心に耳を傾けてくださった皆様に心より感謝申し上げます。
今回の講座は、40年にわたる私の臨床経験に基づく「東洋医学的理論」と、妻による「ジャイロキネシス(ボディワーク)」を組み合わせた、当院独自のプログラムです。
「指先を酷使する専門職」の皆様が抱える悩みに対し私たちが提案した解決策は、意外にも「手」そのものではなく、体の土台に関するものでした。
本日のブログでは、講座でお話しした内容のエッセンスと会場の熱気、そして参加者の皆様の体に起きた「驚きの変化」について、詳しくご報告させていただきます。
手話通訳者・要約筆記の現場から考える「けいわん対策」と「肩こり」の真実
手話通訳や要約筆記というお仕事は、想像を絶する集中力を要します。
瞬時に言葉を聞き取り、それを指先の動きや文字へと変換して出力する。このプロセスにおいて、脳と身体はフル回転しています。
現場の方々からよく耳にするのは、慢性的な「肩こり」や背中の張り、そして深刻な「けいわん(頸肩腕)障害」への不安です。
「仕事だから仕方がない」「職業病だから付き合っていくしかない」
そう諦めている方も少なくありません。
しかし、なぜ手を使うことで、これほどまでに全身が凝り固まってしまうのでしょうか?
実は、皆様が感じているその不調には、単なる「筋肉の使いすぎ」という言葉では片付けられない、人体の構造上の理由が隠されています。
なぜ手が疲れると体までゆがむのか?〜「身体はつながっている」歪みのメカニズム〜
講座の中盤、皆様にこう問いかけました。
「あなたの体は『崩れそうな積み木』になっていませんか?」
「手を使うこと」と「体のゆがみ」。一見関係なさそうに見えますが、実は「身体はつながっている」のです。その鍵を握るのが、頭の重さです。
成人の頭の重さは、なんとボーリングの球と同じくらいの重さがあります。
手話や要約筆記のように手を前に出し、画面や対象者を食い入るように見つめる「前かがみ」の姿勢になると、どうなるでしょうか?
背骨には、頭の重さを支えるための過剰な負担がかかってしまいます。
重たい球を支えるために、背中の筋肉がパンパンにつっぱり、必死に耐えようとするのです。
これが、手が疲れる作業をしているはずなのに、背中や腰までガチガチになってしまう理由です。
胸郭を段ボールにたとえて

さらに、背中がゆがむことは、呼吸にも大きな悪影響を及ぼします。
講座では、この仕組みを「段ボール箱」に例えてお話ししました。
蓋がパカッと全開になった段ボール箱を想像してみてください。中にはたくさんの物を入れることができますよね。
これが、背筋が伸びて胸が開いた状態です。この時の酸素摂取量を100%とします。
では、その段ボール箱を上からグシャッと押しつぶしたらどうなるでしょうか?
箱の中のスペースは狭くなり、物はほとんど入りません。
これが、猫背になって胸の箱(胸郭)が潰れてしまった状態です。
この状態では、なんと酸素摂取量が30%にまで落ち込んでしまうと言われています。
姿勢が崩れるだけで、本来吸えるはずの酸素の7割も損をしてしまい、体は常に酸欠状態に。
腕の痛みや体のだるさは、実は酸素不足になった体からの悲鳴でもあったのです。
1分で変わる「けいわん対策」!坐骨(ざこつ)が作る「呼吸の箱」

では、どうすればこの負の連鎖を断ち切ることができるのでしょうか。
その鍵は、腕でも肩でもなく、お尻の下にありました。
講座で実践した最強のけいわん対策、それは「坐骨(ざこつ)を立てる」ことです。 具体的には、坐骨を感じられる座り方です。
椅子に座った状態で、お尻の下に手を入れてみてください。
ゴリゴリとした「2本の鋭い骨」に触れるはずです。これが坐骨です。
普段、背もたれに寄りかかったり、浅く座りすぎたりしていると、この坐骨は正しく機能しません。
方法はシンプルです。
「この2本の坐骨を、椅子の座面に突き刺すように意識して座る」
たったこれだけです。
会場の皆様と一緒にこの座り方を実践した瞬間、空気感が変わりました。
「あっ、勝手に背筋が伸びた!」
「息が…吸いやすい!」
坐骨が立つと、その上にある骨盤という土台が安定します。すると、背骨そしてボーリングの球のような頭が、自然に正しい位置に戻ります。
結果として背中のつっぱり感が取れ、潰れていた「段ボール箱(胸郭)」がパッと元の大きさに戻り、努力しなくても深い呼吸ができるようになるのです。
これこそが、仕事をしながらでもできる、最も効果的な肩こり・けいわん対策です。

また、仕事の合間に一瞬でリセットできる「特効ツボ」も伝授しました。
鎖骨の下にある「中府(ちゅうふ)」は、巻き肩を開くスイッチ。
肘にある「手の三里(てさんり)」は、酷使した腕の疲れを抜く特効薬です。
これらを知っているだけで、自分の体を自分で守る「武器」になります。
夫婦連携で体をリセット!ジャイロキネシスで「羽が生える」体験

後半は、私の妻による「ジャイロキネシス」の実践タイムです。
元バレエダンサーである妻が指導するのは、椅子に座ったまま行うボディワーク。
呼吸のリズムに合わせて、背骨を「反らす」「丸める」「ねじる」と曲線的に動かしていきます。
医学的な理論で納得した後は、実際に体を動かして感覚を落とし込む時間です。
皆様が真剣に、そして時折和やかな表情で体を動かされている中、皆様の後ろで一緒に体を動かしながら、その様子を見守らせていただきました。
会場の皆様の動きは、初めてとは思えないほどスムーズでした。
妻も、
「皆さんがあまりにも上手に動かれるので、急遽予定になかった動きも加えて体験していただきました!」
と嬉しそうに話していたほどです。
硬く縮こまっていた背中が、呼吸とともに波打つように動き出す…。
皆様の集中力と、会場全体が一体となって体がほぐれていく空気感は、見ていて本当に素晴らしいものでした。
参加者のお声と、これからの皆様へ
講座終了後にお願いしたアンケートでは、ほぼ全ての方から「大変満足」という評価をいただきました。
「身体の歪みと呼吸の関係」「ツボを使ったケア」「ジャイロキネシスによる全身運動」について、「なるほど!」と腑に落ちたという感想を多数頂戴しております。
また、講座を受ける前と後の変化については、以下のような嬉しいお声が寄せられました。
「呼吸がしやすくなった」
「腕が上がりやすくなり、首も回るようになった」
「肩や腕が軽くなった」
40年間、多くの患者様の体に触れてきましたが、やはり「知ること」と「正しく動かすこと」が治療の最大の特効薬だと改めて感じます。
最後に、「今後続けてみたいこと」という質問に対しては、
「紹介されたツボ押し」「座ったままできる背骨の体操」「姿勢を意識すること」
の3点に、多くの皆様が◎(二重丸)を付けてくださいました。
明日からの業務の中で、ふとした瞬間に思い出してください。
「おっと、前かがみが多くなってきたかも…」
「坐骨、刺さってるかな?」
その小さな気づきが、皆様の長く健康なキャリアを支える礎になると信じています。
ふじい整骨院では、今後も専門職の皆様に向けた講座や、個別の身体メンテナンスを行ってまいります。
「私の職場でもやってほしい」「個別に相談したい」という方は、ぜひお気軽にご連絡ください。
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